2014年3月30日日曜日

Binalongbay 2008年12月19日



St.Helensのユースホステルの朝は静かなものだ。



電気ポットでコーヒー用のお湯を沸かし、ポップアップトースターでトーストを焼く。
ニュージーランドもタスマニアも大抵のユースやキャンプ場にこの二つのキッチン家電はある。

こちらで売られているトーストは厚さ2cmぐらいの薄切りのものが
一斤で売られているのがほとんどで、自転車のサイドバッグに入れていると
必ずと言ってほど、潰れてクタクタになってしまう。

そのため、焼く前に形を直して、トースターにセットするのだが、
変形しているおかげで、焼けても「ポンッ」と出てこない。

よくキッチンでいっしょになった客に
「おまえのトーストはグニャグニャだなぁ」とからかわれた。





今朝はピーナッツバターを塗ったトーストとフルーツ。
窓際の席に腰を下ろし、地図を眺めながら朝食を食べた。

今日は荷物を宿に置いて、セントへレンズから程近い
bay of fireの北、Binalongbayで一日過ごす予定だ。



ちなみにbay of fireとはタスマニア東海岸の岩が赤い地域一帯のこと。
この赤い岩を見るたびにタスマニアだなと思う。

facebookページ「discover Tasmania」より



窓の外には素晴らしい快晴が広がっていた。
海で泳ぐのもいいかもしれないな。

朝食の皿を洗い、私は宿を出た。


荷物がほとんどないマウンテンバイクは軽い。
いつもこうだといいんだが。

ビナロングベイには南部から走ってきたハイウェイを離れて、田舎道をゆく。
タスマニアはハイウェイでものどかだが、このあたりはさらに何もない。
いい朝だ。



ビナロングベイは幾つかのアコモデーションとレストランがある程度の小さな街。


ピクニックエリアにマウンテンバイクを置き、ビーチに向かう。




小道を進むと、真っ白な砂の向こうに青い海が見えた。

白い砂浜に足を踏み入れると砂がキュっと音をたてた。



なんて素晴らしい場所なんだろう。






私はしばらく海を見て立ち尽くした。

こんなに素晴らしい場所なのにほとんど人はいなかった。
こんな場所があるんだな。



お昼時になり、レストランに入る。
ビナロングベイを見ただけでもう満足だが、今日の目的は実はランチである。

今日はたくさんお金を使うことになってもいいからクレイフィッシュ(イセエビ)を食べるのだ。
ニュージーランドを旅したときにカイコウラという街に着いたら食べるつもりでいたら、
急遽きこくすることになって食べられなかった、ということがあり、
名物と言うのでここで食べようと決めていたのだ。

選んだ店は先ほどのビーチが見下ろせるレストランで、シルバーとブラックの内装がオシャレな店だった。



私はレーサージャージにパンツだったので、入り口で出迎えてくれた店の女性に「こんな格好だけどいいかな?」と聞くと、「もちろんよ!海が見えるテラスの席が空いてるからそこに座るといいわ」と案内してくれた。

席からは先ほどのビーチがよく見えた。
メニューを持ってきてくれた先ほどの女性に「クレイフィッシュはあるかい?」と尋ねると「ごめんなさい、今日は入ってきてないの」と言われてしまった。オススメを聞くと「オイスターがあるわ」と牡蠣をすすめてくれた。

残念だが仕方がない。

オススメの 牡蠣とフライドポテト、それからスパークリングワインを注文した。




牡蠣は申し分なかった。味は予想通りだったが、レストランのテラスから見える景色と地元のスパークリングワイン「KRLOLINGER」が素晴らしく、優雅な時間を過ごすことができた。
日本への土産はこのスパークリングワインにしよう。




海を見ながら、日本の友達に年賀状を書いた。
真面目に働いている人たちに「タスマニアは夏で暑くて仕方がない。今、青い海が見えるレストランで、牡蠣を食べながら、地元のスパークリングワインを飲んでこれを書いている」
という、自分がもらったらブチ切れ間違いなしの年賀状を書いた。

我ながら最低だが、書いていて気分がよかった。
このブチ切れ年賀状が届いた方にはほんとうに申し分ない。




食事を終え、スパークリングワインの余韻に浸り、ぼっーと海を眺めていると、先ほどのウェイトレスが「美味しかった?」と聞いてきたので「Very nice!」と答えた。


レストランからビーチを見ると、トリアブアナで一緒になったイングランド人カップルが見えた。



レストランを出てビーチに行く。

女性の方は浜辺で何やらやっていたので、男性の方に話しかけた。

彼の名はアダムス。彼女のほうはレベッカ。二人は以前ニュージーランドを三ヶ月ほど旅をしたことがあるそうだ。

これから二人は西へ向かい、タスマニア北中部の都市、ロンセストンに出て、そこからメルボルンへ飛ぶそうだ。何でも親類がメルボルンにいて、クリスマスをメルボルンで過ごすらしい。


レベッカが砂浜で何やら作っていたのは、海藻で作ったHappy Xmasの文字だった。

私は文字の前で二人の写真を撮った。



私も写真を撮ってもらった。



砂浜に座り、お互いのことを話す。二人もかなり旅好きのようだ。
共通の話題が多い。
青く輝く海を眺めながら、こうして他の旅人と話をする、ほんとうに贅沢な時間だ。
お互い自然体で話が出来たのも良かった。

二人とまた会えるだろうか。

明日からは彼らとは別の道だ。
私は明日から山に入る。

アダムスたちと別れ、セントへレンズに戻るが、膝にかなりきている。明日からの山が心配だ。

アダムスだ撮ってくれた写真。なかなかセンスのいいサンタだ。






セントヘレンズに戻ると、タスマニアに来て、初めてネットを利用した。
30分4ドル。まあこんなものだろう。


宿に戻るが、誰もいない。
せっかくなのでユースの紹介ビデオを撮影した。



今夜は晩御飯にチャーハンを作った。合わせて明日のお昼用にテリヤキチキンサンドも作る。サンドは、やや味が濃いが、どうせ走って疲れるのだから、ちょうどいいだろう。


晩御飯を終えると、ようやく一人客が来た。

リビングのソファにいたその男性と話をした。
彼はドイツ出身で、何か事業をしているらしく、毎年二ヶ月ほど、会社を閉めて旅に出るという。

全くうらやましい。

彼は自転車で旅することもあるらしい。どうだろう、年齢は50といったところか。
海外で出会う人は割とこういう人が多いのは気のせいだろうか。
日本もこうならないといけない。


聞けば、ニュージーランドには4回行ったことがあり、
この前はPunakaikiのキャンプ場で2カ月滞在したらしい。

「PunakaikiってPancake Rocksのそばの集落だろ?行ったことあるけど、あそこに行ったときはバックパッカーに泊ったよ。評判のいい宿だったからな。」
私はPunakaikiの記憶を呼び起こした。
Punakaikiではいろいろあったな。


「いや、キャンプ場の方がいいんだ。ほんとにいいところなんだ。」と彼は答えた。

しばらくニュージーランドの話で盛り上がった。
Wanakaのキャンプ場にこれまた長期で暮らすじいさんがいて、
このじいさんがどうやらおもしろいらしい。

私は残念ながら、Wanakaはバスで通っただけだ。

またニュージーランドにも行かないとな。


中国人だろうか、アジア系の若者が集団でやってきてリビングが騒がしくなったので
部屋に戻ることにした。

オランダ人の彼に「もう寝るよ、おやすみ」と言うと
「次はPunakaikiで会おうな!」と彼は答えた。

いやはや。そんなことを言われたら、
旅をしているのにもっと旅がしたくなるじゃないか。




2014年3月9日日曜日

St.Helens 東海岸を北へ  2008年12月18日

ビシュノーを出発。



ビシュノーの街のはずれで車に轢かれたのだろう、
ペチャンコになったフェアリーペンギンが道路上に横たわっており、
かなりのショックを受けた。タスマニアで初めて見たペンギンがこんな姿とは。。

道はこの数日を思うと比較的平坦な道だ。
速度はそこそこ出ているはずだが、期待したほどは進んでいな気がする。






空から少しずつ雲が減っていく。
海がよく見える。

日が高くなってだいぶ暑くなってきた。
夏のタスマニア来て、「暑い」と思えるのは初めてではないだろうか。




海岸に降りられそうな場所がったので、自転車を置いて海に向かう。

気がつけば、そのまま海に入って水浴びをしていた。


気分爽快。

そういえば、今は夏のはずなのにタスマニアに来てから夏らしいことはしていなかったな。

海からあがると、ドロップハンドルのfeltのバイクが置いてあった。
近くを探すと40歳ぐらいの男がいた。
彼はサンフランシスコ出身で、タスマニア北部のデボンポートから
南部のホバートまで行くらしい。

こういうパターンのサイクリストが割と多いな。

タスマニアの大きな空港は南部のホバートと北部のロンセストン、デボンポートの3か所ぐらいしかないから、ロンセストンorデボンポートから入ってホバートまで行く、というのは理にかなっている。

また、これは後になって分かることだが、気候が安定しているのはこの東海岸なのである。
西は雨が降り止まない地域が多いのだ。







海岸線沿いに見つけた家。とても素敵な家に見えた。どんな朝日が見えるのだろう


ハイウェイのA3とA4の分岐で休憩。
腹が減ってきたので、 昨日の夕食の際に夕食と一緒に作ったベーコンサンドを食べることにする。


コーヒーを淹れるついでにパンに挟んだベーコンを温めなおした。
思ったより悪くない。

タスマニアは日本のようにコンビニがそこらじゅうにあるわけではないし、
街から街までも50キロから80キロぐらいある場合がほとんどだ。

街も規模によっては集落、というレベルでカフェもなく、雑貨屋一軒だけ、
というケースもある。

こうして軽食を用意しておくのはニュージーランドを旅して以来、定番の方法だ。

食料自体は一応数日分持ってはいるが、
昼食で昼食でわざわざパスタをゆでたりするのは面倒だし、
かといってすぐ食べられるようなものがないと
食事の出来る街まで急ぐ気持ちが出てきたりするので、
私はこのやり方が一番いいと思っている。もちろん、前日にゆとりがあれば、だが。

 分岐では右に行っても左に行っても今日の目的地、セントヘレンズまでは行けるのだが、
コースのキツさと景色などを考え、右の海沿いのルートを選択した。





海岸沿いのアップダウンをゆっくり走り、今日の目的地、セントへレンズの手前の小さな街スキャマンダーで、先日に続きベリーファームの看板を見つけたので、立ち寄ることにした。

ベリーファームは比較的街の中にあって、敷地に入ったが建物があるだけで、畑は見えなかった。奥に畑があるようだ。





 建物の前には二匹の犬が気だるそうに寝そべっていた。そんな彼らがとても幸せそうに見えて、少し羨ましくなった。

建物に入る。

中にはカフェスペースとガラス戸の向こうにベリーの畑が見えた。


年配の感じのいい女性が中から出てきた。
オススメというパンケーキとコーヒーを注文した。

ここは客がピッキングをすることも出来るようだ。日本人らしき客も見えた。

外のテラスが気持ち良さそうなので、テラスの席に移動する。テーブルの下に犬が寝ていたので「ちょっとお邪魔するよ」と声をかけた。





店の女性がパンケーキとコーヒーを持ってきてくれる。

パンケーキはパンケーキというよりクレープのようだった。下にイチゴやラズベリーがたくさん入っており、横にアイスと生クリームが添えられており、本当に美味しかった。





タスマニアくんだりまで来た甲斐があるというものだ。

コーヒーも美味しく、全く動く気配のない犬たちを見ながら、しばらく日記を書いた

ちなみにこのベリーファーム。
http://www.eurekafarm.net/cubecart4.4.5/index.php



ベリーファームからはまたアップダウンの連続。こういうのも少し慣れてきた気がする。

橋を越えると今日の目的地、セントへレンズだ。

セントへレンズはタスマニアの東海岸の北にある比較的大きな街で、とても明るい街だ。

海が光る街の入り口の海沿いの公園に吸い寄せらていく。




なんて素敵なところなんだろう。


眩しい街だ。



iサイト(観光インフォメーション)で街の地図をもらい、ユースホステルの場所を確認した。


午後3時過ぎの早い時間でユースに人がいるか心配だったが、呼び鈴を鳴らすと若いお兄ちゃんが出てきてくれた。
明日は一日、ビナロングベイというところを見に行って、またセントヘレンズ予定なので2泊お願いした。

ユースはなかなか広々としており、キッチンも広く、庭もあってあたりの宿ではないだろうか。

ユースホステルの外観。普通の家のようだ。
ドミトリーのベッドは下段を確保できた。荷物を置いて、シャワーを浴びる。


早い時間に着いたおかげで洗濯も出来た。
服のにおいが海外の洗剤になってきた。毎度のことだ。

洗濯物を庭の物干し竿干し、(もっとも物干し竿といってもワイヤーが張ってあるだけなのだが)、昔NZのバックパッカーで拝借したワイヤー用の洗濯バサミで留めた。


さて、食料の買い出しに行こう。


そろそろ米が食べたいな。





もうすぐクリスマス。クリスマスでもキャンプ場がやっているか心配なった



街に戻ってスーパーでチキンのミンチや卵、米や果物などいろいろ買う。
宿に滞在するときは宿のキッチン用品が使えるので料理がしやすくて助かる。
卵も2,3日で使うと思えば買えるのもいい。


最後にビールを二日分買い、ユースに戻った。


ユースのキッチンで米を炊く。
少し吹きこぼれてしまったが、うまく炊けたのではないだろうか。


お皿に山盛り盛ってトリそぼろご飯にした。

   

天気も良くて、おいしいパンケーキも食べて、洗濯もできた。
全く言うことない。ビールもうまい。

明日はBay of Fire ビナロングベイでニュージーランドで食べ損ねたクレイフィッシュ(イセエビ)を食べてやろう。

次の海外ツーリングなどいつになるかわからない。
今日も散在したが、明日も散在してやろう。

今回は「しなかった後悔」はしたくない。
二本目